アーティスト 吉野美奈子さんより
「ラバーズ」は、どちらも「つながり」の象徴です。日本神話のイザナギとイザナミに着想を得て、男女が優しく抱き合うイメージを創りました。これは、何かが愛から生まれてゆく瞬間です。富山のラバーズのコンセプトは「人と場・人と人・過去と未来をつなぐ」の3つで、富山で人々を迎える立山連峰も男性像のモチーフになっています。
私は、ニューヨークが同時多発テロの攻撃をうけて、アメリカが戦争に突入してゆく中、恐怖に怯えながら、街中の天使の彫刻のそばで考え続けました。そして「世界に『分ける人、壊す人』がいるなら、私は『つなぐ人、創る人』になろう」と思いました。あの時、失意と哀しみの充満するマンハッタンに、天使の像がいてくれなかったら、どんなに孤独だったかしれません。だから私も、人の心に寄り添えるモニュメントを、いつかそれを必要とする人たちのために作りたいと思ってきました。
ニューヨークの「ラバーズ」には、世界63カ国から様々な言語で1,000の愛のメッセージが寄せられました。どこかの街の「ラバーズ」に参加した人が、別の街の「ラバーズ」に出会った時、「懐かしさ」と国境を超えた「つながり」を感じてくれること、それが「ラバーズ」の願いです。そして、そのモニュメントたちが世界をつないでくれるよう、私はこれからもたくさんの「ラバーズ」を作り続けたいと思っています。